人智を超えた神々を”記録”し続けるホラーエンタメ小説|『領怪神犯』木古おうみ

人智を超えた神々が起こす超常現象の数々、それに関わる魅力的なキャラクターに引き込まれるホラーエンタメ。

今回は、第7回「カクヨムWeb小説コンテスト」のホラー部門にて大賞を受賞し書籍化されたホラーエンタメ小説『領怪神犯』を紹介していきます。

目次

『領怪神犯』木古おうみ|書評

『領怪神犯』は小説投稿サイト「カクヨム」にて2021年12月から連載開始、その後2022年12月にKADOKAWAより文庫が発売されました。

2025年5月時点で、既に3巻まで発売されており、コミカライズもされているなど、人気シリーズとなっています。

著者の木古おうみさんは『領怪神犯』で「カクヨムWeb小説コンテスト」のホラー部門で大賞を受賞したことを機にデビュー。

『領怪神犯』シリーズ以外にも、ホラー小説を中心にKADOKAWAから作品が発売されています。

あらすじ

これは、人智を超えた危険な現象――領怪神犯に立ち向かう役人たちの記録。

この世には、理解不能な神々が引き起こす超常現象がある。
善悪では測れず、だが確かに人々の安寧を脅かすそれは「領怪神犯」と呼ばれている。
役所内に密かに存在する公的組織・領怪神犯特別調査課の片岸は、部下の宮木と日本各地で起きる現象の対処に当たっていた。
毎年身体の一部が村に降ってくる神、不老不死の夢を見せる神、あらゆる事象の辻褄合わせをさせる神、一切の記録がなくただ信仰だけが残る神――。
それらの奇怪な現象や、時には神を崇める危険な人間たちとも対峙しながら、片岸は個人的な事情からも領怪神犯を深追いしていく。
だがそれは、戦慄の真実を知ることにつながって……?

Amazon商品ページより引用

読感

『領怪神犯』を読んでみて、ホラー要素や民俗学要素をメインとして期待すると拍子抜けしてしまうかなと思いました。

ただその分、エンタメ小説としてはおもしろく、神々が起こす超常現象のバリエーションや、どこか含みを持ったキャラクターたちは読んでいて引き込まれるものがあります。

作中に登場する「公的組織・領怪神犯特別調査課」については、オカルト好きな方ならSCP財団を連想するのではないでしょうか?

良い悪いは別として、SCP財団の職員側にもドラマがあり、日々どのように仕事を遂行しているのかをエンタメとして小説にしたような印象。

シリーズ物として次巻も読んで確かめたくなる終盤の展開は秀逸ですね。

最後の神々の影響範囲の大きさや伏線の残し方に、エンタメ小説としての上手さを感じました。

『領怪神犯』木古おうみ|まとめ

エンタメ小説として読むなら、期待に応えてくれる。

私の中では、ホラーか民俗学要素が強い作品と期待して読み始めてしまったので、ちょっと拍子抜けしてしまったのは否めません。

ただし、エンタメ小説としては非常におもしろく、コミカラズできるだけのキャラクターの魅力や、神々が起こす超常現象の絵面のインパクトを感じられます。

実際に思っていたものと違ったなと感じた私も、どういう展開があるのか気になってシリーズ全巻を読む予定。

ミステリーのように頭も使わず、民俗学の用語もそこまで出てこないエンタメ小説なので、ちょっとホラー要素があるくらいに思って一読してみてはいかがでしょうか?

それでは、お疲れ様でした。

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