古代エジプトを舞台に”真実”を見つける傑作ミステリー|『ファラオの密室』白川尚史

『ファラオの密室』の表紙

古代エジプトという魅力的な舞台背景、ファンタジー要素を盛り込んだ秀逸な物語は「このミス大賞」を受賞したのも納得の傑作ミステリー。

今回は、第22回「このミステリーがすごい!」大賞で見事に大賞を受賞し、デビュー作とは思えない完成度で度肝を抜かれたミステリー『ファラオの密室』を紹介していきます。

目次

『ファラオの密室』白川尚史

『ファラオの密室』は、宝島社が主催する「このミステリーがすごい!」大賞の第22回大賞受賞作。2024年1月に単行本が発売され、2025年4月に文庫本が発売されました。

著者の白川尚史さんのデビュー作となる今作の完成度に度肝を抜かれると共に、白川さんの経歴にも度肝を抜かれます。

東京大学を卒業後、一般企業に入社してすぐに会社を設立。現在はマネックスグループの取締役兼執行役員をされています。

三宅香帆さんの著書『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)がベストセラーとなったことも記憶に新しいですが、なぜ会社を運営しながら本を書けるのかと質問したくなりますね。

あらすじ

紀元前1300年代後半、古代エジプト。
死んでミイラにされた神官のセティは、心臓に欠けがあるため冥界の審判を受けることができない。
欠けた心臓を取り戻すために地上に舞い戻ったが、期限は3日。
ミイラのセティは、自分が死んだ事件の捜査を進めるなかで、やがてもうひとつの大きな謎に直面する。
棺に収められた先王のミイラが、密室状態であるピラミッドの玄室から消失し、外の大神殿で発見されたというのだ。
この出来事は、唯一神アテン以外の信仰を禁じた先王が葬儀を否定したことを物語るのか?
タイムリミットが刻々と迫るなか、セティはエジプトを救うため、ミイラ消失事件の真相に挑む!
浪漫に満ちた、空前絶後の本格ミステリー。

Amazon商品ページより引用

読感

ここからは、私が『ファラオの密室』を読んだ感想となります。

まず古代エジプトという舞台が魅力的過ぎました。読み始める前は、私は古代エジプトに対して造詣が浅く少し心配していたんですが、安心してください。全然関係なく楽しめます。

主人公のセティは死亡しており、なぜか心臓が欠けているからと死後の審判を受けられず、3日間の猶予が与えられミイラとなって現世へと蘇ります。

この導入から、さらに奥深い物語へと流れていく様は完成度が非常に高いと感じました。

3日間の猶予というスピード感、エジプト全土を揺るがす大事件がメインにしながらも、物語の根幹である主人公セティの”真実”へと着地する展開は夢中になって読んでしまいましたね。

主人公はある種の異世界転生を果たし、ファンタジー要素を盛り込んだミステリー作品となっていることもあり、良い意味でライトノベルのような軽快さを感じられたのも読みやすかった要因でしょうか。

ではミステリーのタネにファンタジーが含まれているかというと、そこはしっかりと理路整然としていますので不安を覚える必要はありません。単純におもしろいミステリーが読みたい方を、満足させるだけの小説に仕上がっています。

『ファラオの密室』白川尚史|まとめ

『ファラオの密室』を読んでみた感想をまとめると、完成度が異様に高いですね。「こんな展開があったらおもしろい」という王道が詰め込まれている小説でした。

デビュー作でこのおもしろさとなると、白川尚史さんの次回作には期待せずにはいられないですね。

欠けた心臓はどこか? なぜ心臓が欠けているのか? 前王のミイラが密室から消えたのは? 主人公セティの”真実”とは?

気になった方はぜひ『ファラオの密室』を手に取ってみてはいかがでしょうか?

『ファラオの密室』の表紙

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